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海外生活で見つけた、自分のルーツ|異文化の中で自分らしく生きるために

更新日:7月22日

海外生活で自分らしく生きるために、自分のルーツを象徴する一本の木が青空の下に立つ風景


海外で暮らしていると、新しい景色に出会い、新しい価値観に触れ、これまで知らなかった世界が少しずつ広がっていきます。


言葉を覚え、現地の習慣を知り、異なる考え方を受け入れていく。


それは、海外生活が与えてくれる大きな豊かさの一つです。


けれど、新しい環境に慣れようと枝を伸ばしていく中で、ふと立ち止まることはないでしょうか。


「私は、どちらの考え方を大切にしたらよいのだろう」

「今いる場所に合わせることと、自分らしくいることは両立できるのだろうか」

「このまま進んでよいのだろうか」


海外生活で自分らしさを保ちながら生きていくためには、新しいものを取り入れるだけでなく、自分の中にある「根」に目を向けることも大切なのかもしれません。


私は、その根を自分の「ルーツ」と呼びたいと思います。



海外生活で自分らしく生きるために必要な、見えない根


私は時々、人の心や人生を一本の木にたとえて考えることがあります。


木は空に向かって枝を伸ばし、葉を広げていきます。


枝が広がるほど、たくさんの光を受けることができます。


その一方で、強い風に吹かれたり、季節の変化にさらされたりすることもあります。


それでも木が倒れずに立っていられるのは、目には見えない地面の下で、根がしっかりと木を支えているからです。


私たちの海外生活も、それと少し似ているように思います。


新しい言葉を学ぶこと。

異なる文化の中で人間関係を築くこと。

これまでとは違う働き方や生き方に触れること。


それらは、新しい世界へ枝を伸ばしていくような経験です。


世界が広がり、自分の中に新しい可能性が生まれることもあります。


けれど、枝を伸ばすことばかりに一生懸命になると、時には心が疲れてしまいます。


そんな時、自分を支えている根の存在を思い出すことが必要なのかもしれません。



ルーツとは、生まれた場所だけではない


ルーツという言葉を聞くと、国籍や出身地、家族の歴史などを思い浮かべる方もいるでしょう。


もちろん、それらも大切なルーツの一部です。


けれど、私が考えるルーツは、それだけではありません。


どのような環境で育ったのか。

どんな言葉を聞いてきたのか。

人とどのように関わることを大切にしてきたのか。

何を美しいと感じ、何に心が動き、どのような時に安心してきたのか。


これまでの人生の中で育まれてきた価値観や経験、人とのつながりも、私たちの根をつくっています。


例えば、相手の立場を考えること。

目立たなくても、誠実であろうとすること。

これまで遠回りをしながら学んできたこと。

人生の中で出会ってきた大切な人たち。

そして、失敗や挫折を通して少しずつ育まれてきた、自分だけの価値観。


それらすべてが重なり合って、今の自分を支える「根」になっているのです。


そのような価値観や経験は、普段はあまり意識しなくても、私たちの選択や人との関わり方を静かに支えています。


ルーツとは、過去に置いてきたものではありません。


今の自分を支え、これからどの方向へ進んでいくのかを考えるための土台でもあるのです。



新しい文化を受け入れることと、根を手放すことは違う


私自身、イギリスで暮らし始めた頃は、「もっとこちらの文化に馴染まなければ」と思うことがたくさんありました。


日本では当たり前だったことが、こちらでは通じない。

人との距離感も違い、意見の伝え方も違う。


何かうまくいかないことがあるたびに、自分の考え方の方を変えなければならないように感じることもありました。


そのような毎日の中で、日本で育った自分を少し脇へ置いてしまっていた時期もあったように思います。


けれど、長く海外で暮らす中で、少しずつ気づいたことがあります。


新しい文化を受け入れることと、自分のルーツを手放すことは、同じではないということです。


自分の根を大切にすることは、今暮らしている国の文化を拒むことではありません。


むしろ、自分が何を大切にしているのかが分かるようになると、相手との違いも以前より落ち着いて受け止められるようになります。


自分の土台があるからこそ、違いに触れても、自分自身まで否定されたように感じずにいられるのかもしれません。



枝を伸ばす中で、どちらを選べばよいか迷う時


海外で暮らし、新しい世界へ枝を伸ばしていく中では、どの方向へ進めばよいのか分からなくなることがあります。


日本で身につけた価値観を大切にした方がよいのか。

それとも、今暮らしている国の考え方に合わせた方がよいのか。


これまで大切にしてきたものを守るのか。

新しく見つけた可能性を選ぶのか。


根に戻るのか、それとも新しく伸びた枝を進んでいくのか、迷うこともあるでしょう。


けれど、そのような時に、すぐにどちらかを切り離す必要はないのだと思います。


まずは、自分を支えている根に目を向けてみる。


「私は本当は何を大切にしたいのだろう」

「何をしている時に、自分らしいと感じるのだろう」

「私は何が好きなのだろう」

「これから、どのように生きていきたいのだろう」


周囲の期待や、その国での「当たり前」から少し離れて、自分の内側にある気持ちを確かめてみるのです。


そして、その後で、自分が今伸ばそうとしている枝を見つめてみます。


その枝は、自分が大切にしたいことにつながっているでしょうか。

自分の好きなことや、やりたいことへ向かって伸びているでしょうか。


それとも、誰かに認めてもらうために、あるいは周囲に合わせるために、無理をして伸ばしている枝でしょうか。


自分の根にある思いと、伸びている枝の方向が重なった時、進む道は少しずつ見えてくるのかもしれません。


答えは、外から与えられるものではなく、もともと自分の中にあることがあります。


迷った時には、枝を急いで選ぶ前に、まず自分の根に戻ってみる。


そこからもう一度見上げてみると、自分が本当に伸ばしたい枝が自然と見えてくるのではないでしょうか。



すべての枝を育てなくてもよい


木は、すべての枝を同じように伸ばしているわけではありません。


光が当たる方向へ伸びる枝もあれば、途中で成長が止まる枝もあります。


季節によっては、葉を落とすこともあります。


私たちの人生も同じなのかもしれません。


海外生活の中で得た選択肢を、すべて自分のものにする必要はありません。


周囲から良いと思われる生き方が、自分に合うとは限りません。


これまで続けてきたことを、ずっと続けなければならないわけでもありません。


自分の根につながっていない枝を手放すことは、失敗ではありません。


むしろ、自分にとって大切な枝に、より多くの力を注ぐための選択になることもあります。


何を残し、何を手放すのか。


その基準を、周囲の評価ではなく、自分の根に置いてみる。


そうすることで、海外生活の中でも、自分に合った形で枝を広げていけるのではないでしょうか。



ルーツは、自分を縛るものではなく支えるもの


自分のルーツを大切にするというと、「昔の価値観に戻ること」や「変わらないこと」のように聞こえるかもしれません。


けれど、ルーツは私たちを一つの場所に縛りつけるものではありません。


木の根は、枝が自由に伸びるためにあります。

根があるからこそ、木は空へ向かって広がっていくことができます。


私たちも、自分がどこから来たのか、何を大切にしてきたのかを知ることで、安心して変わっていくことができるのだと思います。


日本で育った自分も。

海外で得た新しい考え方も。

これまで経験してきた喜びや苦しみも。


そのすべてが、今の自分をつくっています。


どれか一つを選び、ほかを切り捨てる必要はありません。


自分の根を大切にしながら、新しい枝を伸ばしていく。


その過程そのものが、自分らしく生きるということなのかもしれません。



海外生活で自分らしく生きるために


海外生活では、周囲に合わせることが必要な場面もたくさんあります。


言葉や習慣の違いに戸惑いながら、その場所で暮らしていくために努力することもあるでしょう。


けれど、合わせることに疲れた時には、少し立ち止まって、自分の根に目を向けてみてください。


私は本当は、何を大切にしたいのか。

何をしている時に、心が穏やかになるのか。

どのような生き方を、自分は心地よいと感じるのか。


その答えは、すぐには見つからないかもしれません。


けれど、自分の根を丁寧に見つめていくことで、今伸ばしている枝が自分に合っているのか、少しずつ分かるようになることがあります。


木が根を張ることをやめずに、季節ごとに姿を変えていくように。


私たちも、自分のルーツを大切にしながら、異文化の中で変化し、成長していくことができます。


根を失わずに、枝を伸ばしていく。


その両方を大切にすることが、海外生活の中で自分らしく生きるための一つの道なのではないでしょうか。


木は、一晩で大きく育つことはありません。


根を張る時間も、枝を伸ばす時間も、どちらもその木にとって大切な時間です。


私たちの人生も、きっと同じなのだと思います。


だからこそ、焦らず、自分の根を大切にしながら、自分らしい枝を育てていけたらいいのかもしれません。



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