国際結婚のリアル Part 2:イギリスでの子育てと、夫婦のすれ違い
- Locus of Life

- 2025年10月17日
- 読了時間: 8分
更新日:4月30日

国際結婚と、外国での子育てが始まったとき
結婚して8年後、私は待望の息子を授かりました。
息子の誕生は、私の人生にとって大きな喜びでした。
けれど同時に、私たち夫婦の関係が少しずつ変わり始めたのも、この頃からでした。
息子が生まれた時期に、日本航空では早期退職制度がありました。幼い子どもを抱えながらフライトを続けることは難しいと感じた私は、その制度に応募し、育児に専念することを決めました。
同じ頃、夫は日本の銀行で働き始めたため、経済的な不安は少なくなるだろうと私は安心していました。
けれどそのときの私は、外国で初めての子育てをすることが、どれほど心細く、孤独なものなのかをまだ分かっていませんでした。
友達はほとんどいない。
両親は日本にいる。
頼れる人は夫だけ。
そのような環境で始まった子育ては、想像していた以上に大変なものでした。
イギリスでの子育てで感じた孤独
子どもが生まれる前は、大人二人の生活でした。
病院へ行く機会もそれほど多くなく、必要なときには夫が一緒に来てくれることもありました。
けれど息子が生まれると、病院へ行く回数は一気に増えました。予防接種、体調不良、発達に関する相談。
そのたびに、私は慣れない医療制度の中で、英語で説明を聞き、判断しなければなりませんでした。
頼れる人が近くにいない不安
日本にいれば、母や家族に少し相談できたかもしれません。
友人に「これって普通かな」と聞くこともできたかもしれません。
けれどイギリスでの子育てでは、日常の小さな不安を気軽に話せる相手が近くにいませんでした。
夜中の授乳。
泣き止まない赤ちゃんを抱えながらの疲労。
体調が悪いのではないかという不安。
病院や保育園の手続き。
一つひとつは、多くの親が経験することかもしれません。
けれど、それを異国で、別の言語で、家族の助けがない中で行うことは、心に大きな負担をかけました。
医療制度と言葉の壁
イギリスの医療制度は、日本と大きく違います。
専門用語で説明されても、その場では理解したつもりになり、家に帰ってから「あれはどういう意味だったのだろう」と不安になることもありました。
そのことで夫に責められ、自分の無力さを強く感じたこともありました。
英語がまったく分からなかったわけではありません。
それでも、子どもの健康に関わることを英語で理解し、判断するというのは、日常会話とはまったく違う緊張感があります。
母親としてちゃんとしなければ。
でも、自分には分からないことが多すぎる。
そんな思いが、少しずつ心を追い詰めていきました。
子育てをきっかけに変わっていった夫婦関係
息子の世話で心身ともに疲れ切っていた私は、以前のように夫とゆっくり英語で話すことも避けるようになりました。
夫を思いやる余裕も、次第になくなっていきました。
夫もまた、私の変化に不満を感じていたのだと思います。
働くことへの価値観の違い
息子が3歳になり、ナーサリーに通い始めた頃、夫は私に「働きに出てほしい」と言いました。
けれど私は、「今は息子をきちんと育てることが最優先だ」と考えていました。
子どもが小さいうちは、母親がそばで見てあげることが大切だと信じていたのです。
今振り返ると、ここには大きな文化や価値観の違いがありました。
イギリスでは、母親も外で働くことが比較的一般的です。
一方で、私が育った日本では、少なくとも私の世代においては、子どもが小さいうちは母親が家庭を守るという価値観がまだ強く残っていました。
どちらが正しい、間違っているということではありません。
ただ、その違いを夫婦で十分に理解し合う余裕が、当時の私たちにはありませんでした。
育児方針や食事をめぐるすれ違い
育児方針をめぐる違いもありました。
息子がまだ赤ちゃんだった頃、夫は「そろそろ自分の部屋で一人で寝かせるべきだ」と言いました。
けれど私は、まだ幼い息子を一人で寝かせることに強い抵抗がありました。
また、息子が小学校へ通うようになると、食事についても意見が分かれました。
夫は「学校で食べてくるのだから、夜は軽い食事で十分」と考えていました。
一方で私は、息子が学校でどのくらい食べているか分からない以上、夕食はきちんとしたものを用意したいと思っていました。
小さな違いのように見えるかもしれません。
けれど、育児中の疲労や孤独が重なると、こうした違いは夫婦間の大きな摩擦になっていきます。
話し合っているのに分かり合えない苦しさ
私たちは結婚当初から、「文化も育った環境も違うのだから、何でも話し合おう」と決めていました。
けれど、子育てが始まってからの話し合いは、以前のようにはいきませんでした。
私は疲れ切っていて、自分の思いを冷静に伝える余裕がありませんでした。
夫もまた、自分の不満を抱えていたのだと思います。
「私は日本を離れて、この国で必死に頑張っているのに、なぜもっと頑張れと言われるのだろう」
「彼は自分の国にいて、家族も友人もいて、自分の言葉で暮らしている。どうして私の孤独を分かってくれないのだろう」
そんな思いが、私の中で大きくなっていきました。
今振り返ると、私は自分で選んでイギリスへ来たにもかかわらず、その苦しさの責任を夫に向けていた部分もあったのかもしれません。
また、当時は産後うつに近い状態もあったのではないかと思います。
けれど、そのときの私は、自分がどれほど疲れているのかにも気づけませんでした。
平穏に見えた日々の中で、私たちの関係は、私が思っていた以上に静かに崩れていたのかもしれません。
突然訪れた別れと深い孤独
この頃、夫からカップルカウンセリングに行こうと提案されたことがありました。
しかし当時の私は、カウンセリングを信じていませんでした。
「人に頼るより、自分たちで解決するべきだ」と思っていたのです。
今振り返ると、当時の私は、心理的なサポートに助けを求めるという発想自体を、まだ持てていなかったのだと思います。
その提案を断ったことは、後の裁判で、私に関係修復の意思がなかったように見せる材料として使われることになりました。
そして2016年、突然、見知らぬ男性が家を訪れ、行動制限命令(Prohibited Steps Order)と離婚申立書(Divorce Petition)を渡されました。
私にとって、それはまさに青天の霹靂でした。
夫の口から「離婚」という言葉を直接聞いたことは一度もありませんでした。
それだけに、突然法的な手続きとして目の前に突きつけられた現実は、理解することも受け止めることも難しいものでした。
さらに、そのヒアリングでは、息子のパスポートだけでなく、私自身のパスポートも預けることになりました。
当時の私は、法的な手続きの流れを十分に理解できておらず、何が自分に起きているのかを受け止めるだけで精一杯でした。
息子のパスポートについては、裁判所が子どもの移動に関する安全性を考慮したのかもしれません。
けれど、私自身のパスポートまで手元から離れることになったことには、大きな戸惑いとショックがありました。
その後、私はしばらくの間、日本へ自由に帰ることができない状況の中で過ごしました。
これは、単に移動が制限されたというだけではなく、自分の自由や尊厳が揺らぐような体験でした。
まるで自分が何か悪いことをしたかのように感じられ、深い無力感と孤独感に包まれていきました。
異国で、法制度も言葉も十分に分からない中で、自分をどう守ればよいのか分からない。
誰を信じればよいのかも分からない。
その時期の孤独は、今振り返っても、簡単には言葉にできないほど深いものでした。
国際結婚の子育ての中で、自分を責めすぎないために
海外での子育ては、見た目以上に多くの負荷を抱えています。
言葉の壁。
制度の違い。
家族の不在。
パートナーとの価値観の違い。
そして、「自分が選んで来たのだから頑張らなければ」という無言のプレッシャー。
その中で疲れ果ててしまうことは、決して弱さではありません。
子どもを大切に思うからこそ、不安になる。
家族を守りたいからこそ、必死になる。
異国で頑張っているからこそ、心が限界を迎えることもあります。
もし今、海外での子育てや国際結婚の中で苦しさを感じているなら、どうか自分を責めすぎないでください。
あなたが感じている孤独や不安には、ちゃんと理由があります。
今日も、よく頑張っておられますね。
たとえ誰にも見えていなくても、あなたが日々重ねている努力は、本当に大きなものです。
次回(Part 3)では、その出来事をきっかけに始まった離婚裁判のリアルと、私がどうやってその苦難を乗り越え、今の自分につながる学びを得たのかをお伝えします。
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